上野、世界選手権代表から2セット奪う

[卓球部]第84回 全日本大学総合卓球選手権大会・個人の部
第84回全日学・個人の部2日目が10月28日、所沢市民体育館で行われた。結果は以下の通り。


日本代表、田添健汰から2セットを取った上野=所沢市民体育館で(佐藤文撮影)


松田の最後の相手は中高の後輩だった


今年のランク入りとはならなかった水谷(曽根優衣奈撮影)


試合の行方を見守る選手たち(田上佳雅撮影)


試合直後、松田は上野の試合のベンチに入った


<男子シングルス>

〔2回戦〕※試合順
○上野亨樹(現2)3-0長崎(福岡大)●※シード出場
●橋本拓磨(経1)1-3遠藤(明大)○
○松田尚樹(営4)3-0松宮(関学大)●
○水谷良紀(営3)3-1和田(中大)●

〔3回戦〕
○上野3-0高杉(中大)●
●松田0-3龍崎(明大)○
●水谷0-3酒井(明大)○

〔4回戦〕※7ゲームスマッチ
●上野2-4田添健汰(専大)○

 日本のトップレベルの学生が凌ぎを削る全日学。駒大勢は惜しくもランク入りとはならなかったが、水谷主将がチームの目標として掲げる「元気で勢いのあるチーム」を感じさせるゲームがあった。
 ランク入りをかけた4回戦。関東ベスト8の成績を誇り、今やチームの柱の一人である上野が、日本代表に選出されたことのある田添健汰選手(専大)に対して、連続してセットを奪ったことだ。爆発力のある上野は一度はまると連続得点できる力がある。それが表れたのが、3セットを先取され後がない4セット目。序盤、2-3で劣勢の状況から、連続4得点で逆転に成功する、その後も相手のミスを誘うなどして、このセットをものにする。続く第5セット。今度はいきなり3得点をする。だが、ここからが相手との意地の張り合いだった。序盤の連続得点から3-3に持ち込まれ、5点目を決めてもすぐに5-5に持ち込まれた。ところが、ここでやすやすと引き下がらない。怒涛の攻撃で、連続6得点。セットカウントを2-3まで持ち込んだ。結果として次のセットを取られ、ランク入りを成し遂げられなかったが、最後まで緩急織り交ぜた台の前後の攻撃で、今年の世界選手権代表を翻弄した。
 そんな上野が信頼を寄せるのが、前主将の松田だ。松田はこの日、2回戦でストレート勝ちをし、相手に迎えたのは中高での後輩の龍崎(明大)。負ければ現役引退が濃厚な今大会で、どんなボールでも拾うなどの粘り強いプレーで勝ち上がってきた。1セット目を取られると、2セット目で意地を見せた。先ほどのセットの悪い流れを引きずり、1-6と劣勢に追い込まれる。しかし、彼は駒大を代表する選手。ここからが互いに手の内を知る者同士での戦いだった。ラリー戦に持ち込むと、8-7と逆転。ラリーの根比べの面で10-12と相手にセットを渡してしまい、次のセットも4-8からの8-8まで持ち込んだが、もはやここまで。「(競技生活最後となるかもしれない)この試合で、中高時代を共にした後輩との試合を最後に迎えたのは、何かあるのかもしれないね」と指揮官は語った。4年目には主将としてチームを引っ張り、最後のリーグ戦では一握りの選手にのみ送られる特別賞を受け取った松田は、晴れ晴れとしたやり切った表情で試合会場を後にした。

◆長崎隆志監督
「(見えた課題は)昨日も言ったように、気迫や覚悟といった試合に臨む気持ちの面。(今日の試合に臨んだ様子は)良いものだった。(水谷)良紀も良かった。そういう雰囲気を常に出してほしい。今日は良紀にしても上野にしても試合は悪くなかったけど、相手が一枚上手だった。まぁ上野は1、2セット目で(簡単なミスが目立って)もったいなかったけどね。1、2セット目で1-1くらいに持ち込んでいればおもしろい試合になっていたのではないかなと思う。(4,5セット目を取ったのが大きかったか)相手との差がある試合になるとたいてい1-4もしくは4-1になるもの。2つ取ったのは大きい。(田添選手相手というのも大きいか)日本代表選手だからね。この大会でも優勝してもおかしくない選手。そんな選手にあの試合ができたということは自信につなげてほしい。上野も十分勝てる。体のブレなど、負けていた部分はあったが、攻め込んだ時の強さなど、勝っていた部分もあった。(4年生では松田選手が今日まで残ったが)特に個別に何かを話したということはないが、『集大成だからね』とは言った。本人もそのつもりでやっただろうし。中高を共にした後輩がまた、最後の相手だったということが何かの縁なのかもしれないね。(今後の大きな大会は)12月の東京選手権予選。(そこでも目標は)3~4人は(本大会への)代表になってほしいよね。毎年全然予選通過にならない。この大会に出場するよりも予選が厳しくて。(この先春までに必要になってくるものとは)変なミスをしないということだろうね。我慢強くやるということと、勝負どころで決められることだと思う。(今のところの春リーグへの見通しは)今のままだと厳しいとは思う。ただ、ちょっとしたところで変われる。選手が今回の結果を受けて、何が良くて、何が課題なのかよく考えれば変わることはできる」

◆水谷良紀主将
「(今大会の結果は)一昨年に自分がランク入りを達成できていたので、(自分も含めて)まだまだだなと感じた。(今日の自身のプレーについては)自分が格下だというのは分かっていたので、挑戦者として臨んだ。いつも通りのプレーを心がけた。だが、相手の速い試合展開や(相手が)すぐ台に入ってプレーしてきたので、そこにやられた。(今後はチームをどう率いていきたいか)東京選手権の予選会が12月にあるので、そこに向けてチームをうまくまとめて1人でも多くが予選通過できるようにしたい。(春リーグに向けて必要になってくるのは)学生トップレベルの選手と比べた時の卓球への意識の高さ、卓球のレベルの高さ。これが必要になってくると思う」

◆松田尚樹前主将
「(今日の試合は)最後は中高の後輩だった。やり慣れてる部分があり、ラリーが続いた。結果的に体力勝負となった。(その試合で良かった点は)いつもと違うアップ系のサーブ中心にして、前よりラリーができた。(反省点は)対策を練って、戦術の幅を広げるべきだった。(今後の試合は)酒井選手と森薗選手が共にベスト8に入ったら、東京都の全日本関東ブロックに上がることができる。負けたら、事実上今日の試合でラスト。(社会人では)今のところ考えていない。選手として、限界が見えてきた。指導者として卓球に関わっていきたい。(新主将水谷について)マイペースだが、彼が成長することでチームの士気をあげ、リーグ戦での勝利につなげることができる。努力は伝わっている。今後も自分のためにもチームのためにも頑張る姿勢に期待したい。(他の注目選手は)もちろんみんな。その中でも練習、自主練習に誘ってくれるのは上野。もう1年頑張ってもらい、ランク上げに期待したい。(4年間やってきて)駒澤に入って良かった。リーグ戦以外思うような結果は残せなかったが、周りの人へ感謝の気持ちが大きい。OBとして力になりたい」

◆上野亨樹
「(今日の試合を振り返って)いい感じにはできた。(良かったところは)サーブの組み立てやラリーがすごくよかった。練習でフットワークをしっかりやって、ラリーとかも力を入れた。(反省点は)台上と対応力が足りなかった。ロングサーブに対するレシーブとか。(どのような練習をしてきたか)レシーブからの展開を意識した。ラリーにもそれが結構出ていたので、焦らずに何事も取り組みたい。(どういった先輩になりたいか)松田さんみたいな先輩になりたい。すごい頼りになり、団体戦にいてくれるだけで安心感があった。しっかり点を取ってくれた先輩だった。(4年生が引退となるが、新体制については)(水谷)良紀さんがキャプテンなので、それについていく。自分にできることが何かを見つけて、やっていきたいと思う。(チームのどんなポジションにつきたいか)みんなを引っ張っていくようなキャラではないので、一人で黙々とやる、いつも通りの位置にいたい。(練習相手は)同じ学年だと、藤田や西山がすごい練習相手になってくれる。同期とはこれからもみんなで仲良くしたい。(気が合う人は)ずっと松田さんにお世話になっていたので、松田さん。練習もお願いしたら相手をしてくれた。頼りになった。(ベンチ入りしたメンバーについては)多くの人がベンチに入ってくれた。普通なら、勝ったら1試合ごとに変えない。水野さんとかにも技術的なところをいっぱい指導してもらった。(次の目標は)次の大会は春リーグ。新入生で強い後輩が入ってくる予定なので、後輩に負けないようにしっかり練習して、1部で勝ち越したい」

◆橋本拓磨
「(今日の調子は)あまりよくなかった。試合の準備の段階で、忘れ物などがあって気持ちが浮いた状態で試合に入ってしまった。勝つ気持ちが足りなかった。(試合は1年生同士だったが)日頃から仲のいい相手なので、絶対に勝ちたいと思っていたし、同じ1年生で関東大会を経験した相手なので、負けられないと思った。新人戦のダブルスで負けている相手だけに、シングルスでは勝ちたかった。(今日のよかった点は)自分の特徴でもあるサーブが結構効いた。サーブが決まらないと試合にもならないので、力をいれて練習した。(悪かった点は)レシーブで失敗した。相手のサーブはナックルサーブが多かったが、それをわかっていながら突っつきをしたりしてしまった。それでボールが浮いて、相手から先に攻められて、自分が下げられる展開が多かった。もう少し、これからレシーブの練習をしたい。(今後の目標は)来年の春に向けて、レギュラーとして試合に出られるように、練習を頑張っていきたい」


試合の行方を見守る選手たち(田上佳雅撮影)

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