南出、金中、天下の頂点に王手!

[ボクシング部]第72回国民体育大会 愛顔つなぐえひめ国体 ボクシング競技会
愛顔つなぐえひめ国体 ボクシング競技会(成年男子の部)準決勝まで8人が勝ち上がってきたチーム駒大。準決勝となるとどの試合もレベルが高く、どちらが勝っても負けてもおかしくない試合が大半を占めた。


どんな相手にもKOするつもりでいると南出は述べている=松前公園体育館で(田上佳雅撮影)


試合終了直後には思わずこの笑顔を見せた林田


牧野は3位入賞という形で競技生活に幕を降ろすこととなった


先輩相手に2R目まで渡りあった嶋田

果は以下の通り。(試合順)

ライトフライ級
●長谷部大地(経1)(岡山)〔WP 0-5〕○重岡優大(拓大)(熊本)

【フライ級】
●林田翔太(15年卒)(和歌山)〔WP 2-3〕●嶋田亨(愛媛県競技力向上対策本部)(愛媛)

バンタム級
○南出仁(商4)(和歌山)〔WP 5-0〕●吉村賢斗(自衛隊体育学校)(長崎)

【ライト級】
○金中竜児(17年卒)(茨城)〔WP4-1〕●嶋田淳也(歴2)(大阪)

ウェルター級】
●牧野拓矢(政4)(静岡)〔ABD 2R2"58〕○金城大明(自衛隊体育学校)(埼玉)

【ミドル級】
●鬼倉龍大(17年卒)(茨城)〔WP0-5〕○髙橋諒(愛媛県競技力向上本部)

*WPはWin on pointの略、ABD(アバンダン)は負傷等による試合放棄や、セコンドによるリングへのタオル投入による試合の放棄で勝敗が決まること。

幾多の戦いを制し、それぞれの階級の準決勝に7人で臨んだチーム駒大。国体の準決勝にもなると、相手に勝つのは容易ではなくなってくる。全日本ランカーはおろか、チャンピオンにも対戦することもある。まさしく、全日本チャンピオンと対戦したのが牧野と鬼倉だった。牧野は、「負けたら引退」とずっと言ってきていただけに、ABDで突然試合が終わってしまった直後明らかに悔しげな表情を見せた。しかし、小山田監督は「本当によくやった」とねぎらいの言葉をかけた。
バンタム級準決勝では、周囲からの評価に応えるように着実に勝利を重ねてきた南出が悲願の優勝にあと1つと迫った。「(体を鍛えることや練習は当たり前なので)明日は気持ちだけ」と意気込みを語った。「いつも通りのことをするだけ」とも述べている。一昨年の地元のわかやま国体での準優勝、昨年の全日本選手権での準優勝。大きな大会で2度も勝利の女神にそっぽを向かれてきた。今年は逃さない。

◆小山田裕二監督
「(長谷部選手について)相手が数段力が上だった。良い部分もあったんだけど、それが続かない。バランスを崩したり、下を向いてしまって反則を取られたり。クリンチの時に何もしないで休んでいたり。やはり、自分は良い状態でパンチを打てるというのもボクシングでは大事なので。バランスが悪い。バランスが悪いと見栄えも悪い。そうなると、ちゃんとしたパンチも打てなくなってしまうので。経験もまだまだ浅いので。今回も大学生になって初めての大きな大会だったので。この反省をしっかりと踏まえて全日本選手権でチャンピオンになるために活かしてほしい。(全日本の結果で来年のリーグ戦にも?)そうですね。同じ階級には杉山広将もいる。彼に勝てるかどうか。来年はLF級もたくさん入ってくるので。(林田翔太さんの敗退については)2Rまではこちらの流れだったが、3Rで逆転されてしまった。手数と気持ちの面で押されてしまった。締めくくりのラウンドもしっかりと。ちゃんとやれと神様が言ってくれていると思ってやらないと。全日本チャンピオンとして。(嶋田選手について)足回りが早い金中に対して、1Rでは打ち終わりに被弾しないようにしっかり足を動かすなど、やろうとしていたことをできていたが3R目に足が止まってしまって、金中の動きについていけなくなり、被弾数が増えた。3R目に取られてしまったね。締めが悪い。3Rでとれていたら手が上がっていたかもしれない。(牧野選手について)いや、もう上出来ですよ。持っている力以上に頑張った。本人はものすごく悔しいだろうけど、良く頑張ったと思います。気持ちを前面に出して。もう相手の選手の方が数段上の選手なので。よくあそこまで戦えたなと。(牧野選手の今後については)時間が許せば、審判の資格を取るなどでボクシングに関わっていけたらと。(鬼倉選手について)もう少し積極性が欲しかった。というのと、接近戦になった時に手が出ない。相手の方が積極性があったし、手が多かった。そういう点で足りなかった」

◆牧野拓矢
「全日本チャンピオンを相手にして)全然レベルが違った。(ここまでのボクシング生活を振り返って)本当に色々な人に支えてもらってお世話になった。多くの人の支えがあったからこそ、ここまで来られた。本当に感謝です。(後輩たちに伝えたいことは)やはり今回の試合でも伝えられたら良かったなと思うことがあるんですけど、(試合は)気持ちが8割。気持ちが大切だということ。(ボクシングを続けてこられた原動力は)やはり、ボクシングを始めたきっかけでもある、『日本一になりたい』という思い。強くなりたい、という気持ちがここまでこられた原動力。(最後にレフェリーから何か言われていたが)よく頑張った。ナイスファイト。良い試合だった、と言われた。『ナイスファイト!』はみんなに言われた。(作戦通り、との声も聞こえてきたが)作戦というのは気持ちを前面に出したボクシングをするというものだった。(南出さんは優勝しますか)絶対優勝してくれます。(今日の結果は悔いのないものだったか)日本一目指してきたので、悔いがないと言えば嘘にはなるけど、ここで日本一取れなかったという思いを、これから続く長い人生に活かしていけたらと思います」

◆嶋田淳也
「(この結果は)優勝を目指していたので、悔しい。けど自分は高校時代から全国大会でベスト8で負けていたので、準決勝までいけたのは成長できた点だと思う。(リーグ戦を終えてから意識してきたことは)
階級も一つ上になったので、パワー勝負では負けてしまう。自分の良いところを最大限に活かせるようにスタミナとバランスのトレーニングは意識してきた。(金中先輩と対戦して)手応えはあったんですけど、キャリアなどの面での差を感じた。(準々決勝では13年・14年国体のライト級王者を倒したが)経歴や実力では全然向こうの方が上でビビッてはいたんですけど、(ベスト8突破という)目標として勝てたことはすごい自信になった。これまではいつも2回戦で負けてたので、ここを勝てば成長できると思って臨んだ。(この国体と通して成長を感じられたか)ライト級という普段の階級ではない階級で他の選手と同等に戦えたのは自信になった。(今後は)練習でやりたいこともたくさん見つかったので(取り組んでいきたい)」

◆南出仁
「(明日はいよいよ決勝だが)2年前の国体は負けているので。昨年の全日本でも負けて2位になっているので。足りなかった部分は自分で分かっているので。(足りなかったもの、とは)最後までやり抜く気持ちとか、絶対に勝つんだという気持ち。冷静に試合運びをする、自分のボクシングをするということをこれまではできなかった。(地元での国体の準優勝は)めちゃめちゃ悔しかった。でもその負けのおかげで自分は強くなれた。負けた当時は悔しかったけど、今はプラスにしか捉えていない。(今日の相手については)ただ自分の方が強い、という思いで臨んだので。(ラッシュ攻撃がすごかったが)ボクシングなので。ダウンと奪うとか、倒す(KO)という思いは忘れてはいけないので。常に倒そうという気持ちは持っている。(決勝への思いは)勝つことしか考えていない。いつも通りに。気持ちの面など含めて、ここに来るまでに全て仕上がっている。あとはやるだけ。(一番大切なものは)いつも通り気負わずに、ということ。(試合でのメンタルについて)気持ちというのは本当に大切。試合のほとんどを占めている。他の、例えば練習とか体を鍛えるということは当たり前のことなので。(気持ちを前面に出した牧野選手が今日引退を迎えたが)あいつの試合には本当に感動した。とても力をもらった。ああいう試合をできるなら、どこに行っても何でもできると思う。何の心配もない。どの分野にいっても活躍すると思う。(明日は)高校時代(高校2年の3月)に全国大会で負けている相手。その時以来。そこからどれだけ成長したか(試される)」

◆鬼倉龍大
「(今日の試合は)気持ちは出せたんですけど…。上体が開いてしまう(と監督に指摘された)。あとは気持ちの問題。もっと練習しないとだめだと感じた。(今日の相手は)全日本チャンピオンであり、ファイター(ボクシングの戦うスタイル)だったので、ガンガン攻めてきた。チャンピオンだからと気負ってしまうのではなく、他の選手を相手とする時と同じ心境で臨んだ。(チャンピオンの壁は高かったか)去年の全日本選手権でも良い試合はできた。『ナイスファイトだった』ではなく、『(勝って)良かったね』と言われるように、良い試合とだったということで満足せずに結果が残せるようになりたい。内容が良くなくても勝てるように。もう学生ではないので。(全日本選手権に向けて)練習がまだまだ必要だと感じた。試合が終わってから後悔することの無いような練習をする。自分が後悔しそうなことを予想して、先読みした練習をする、そういうことが大切だと思う」


☆明日の成年男子の部・決勝には、

バンタム級】南出 仁
【ライト級】金中竜児

が出場する。
なお、試合は松前公園体育館で11時に女子決勝から行われる。(最寄り駅:伊予鉄道郡中線 古泉駅 徒歩10分)


先輩相手に2R目まで渡りあった嶋田

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