目標へ一歩届かずも堀合が区間賞…2年生も好走を見せる

秩父宮賜杯第49回全日本大学駅伝対校選手権大会が11月5日、愛知県・熱田神宮三重県伊勢神宮の8区間106.8kmで行われた。結果は以下の通り(上位3位以内と駒大のみ)。


熾烈な1位争いを繰り広げた片西(写真2列目中央)=熱田神宮前で(田上佳雅撮影)


自分の走りで流れをもってこれなかったと悔しさをにじませた工藤(伊藤大志撮影)


加藤(写真右)からタスキを受け、区間賞の走りを見せた堀合(写真左)(岡田あおい撮影)


直前の記録会で自己ベストを更新、勢いに乗り三大駅伝初出場を果たした山下(奥野凌河撮影)


出雲、全日本を終え、続く箱根路への思いを語った藤色の戦士たち(伊藤大志撮影)


【総合記録】
1位 神奈川大 5:12.49
2位 東海大 5:14.07
3位 青学大 5:15.22
4位 駒大  5:15.59

【個人成績】
1区 片西景 43:25②(2)
2区 工藤有生 38:41 ②(4)
3区 物江雄利 27:48③(6)
4区 下史典 40:46⑤(7)
5区 加藤淳 35:13⑤(7)
6区 堀合大輔 35:57⑤(1)
7区 中村大聖 34:49④(5)
8区 山下一貴 59:20④(7)
◯は総合順位、()内は区間順位。


前半重視のオーダーで3番以内を目指した駒大。当日のメンバー変更で、1区にユニバーシアードハーフマラソン金メダリストの片西、2区に銀メダリストの工藤を投入。主力メンバーの走りで流れを作り、勢いに乗る若手を生かせるか注目が集まった。

学駅伝で初めて1区を担った片西は、スタート後、先頭集団につき積極的にレースを展開する。
5キロ付近で全日本選抜の留学生選手が飛び出すとトップ集団が解体。片西は2位集団後方へつく。その後順調にペースを上げると、ラストは東洋大と熾烈な1位争いへ。惜しくも1秒差で区間賞を逃し、2位でタスキをつないだ。

2区では駅伝主将の工藤が奮闘。片西の作った流れに乗り、第1中継所を通過後は駒大、東洋大、神奈川大、早大で1位集団を形成。その後東洋大と駒大、神奈川大と早大に分かれると、東洋大と並走。その後先行を許すもしっかりと後ろについたが、徐々に差を開かれ、13秒差でのタスキリレーとなった。

最短区間・3区には故障から復帰したスピードランナーの物江がエントリー。練習を再開したのは9月だったが、見事今大会での全日本大学駅伝初出場を果たした。後方から東海大が追い上げを見せると8.2km付近で2位が交代。悔しい9秒差の3位でタスキをつないだ。

2年連続で4区を担ったのは下。タスキを受け取ると、前を行く2位の東海大に果敢に食らいついた。しかし再びリードを許すと、後方からは神奈川大、青学大が下の背中を捉える。12.5km付近でついに先行を許すと、そのまま5位でタスキリレーとなった。

5区には1年生ながら、出雲に引き続きメンバー入りを果たした加藤がエントリー。監督からは出雲のことは忘れて自信をもっていうよう声をかけられ、期待に応えるべく力走。前を行く青学大との差を縮める。しかし、あと一歩詰めきれず30秒差の5位で続く堀合へ。

6区ではこれまで箱根駅伝10区、出雲駅伝4区で抜群の安定感を見せてきた堀合が躍動。初めての伊勢路は単独走となるも、ペースを落ち込ませることなく後半で上げ、勢いそのままに中継所へ。区間賞獲得の見事な走りを見せ、後続の初出場2人に良い流れをもたらした。

7区では昨年エントリー入りを果たすも、出場が無かった中村大聖がついにデビュー。最初の1キロをハイペースで入ると、前を行く東洋大の背を捉える。その後5.2km付近でついにかわすと4位へ浮上。最後は同じく初出場を勝ち取った同部屋の山下へ、前を行く青学大と25秒差でタスキをつないだ。

最終区・8区では山下が健闘。「10キロくらいまではいい調子で走れたが、後半13キロ通過くらいからペースを落としてしまった」と後半のスタミナ不足を課題にあげた。それでも各大学のアンカーと戦える力を存分にアピール。順位を守り4位でのフィニッシュとなった。

1区では片西が区間賞まで1秒差とせまり、6区では堀合が区間賞を獲得。初出場の7区中村、8区山下ら2年生も好走を見せ、確かな収穫を得た全日本。目標としていた3番以内には一歩及ばなかったものの、箱根路で雪辱を果たす準備は着実に実を結んでいる。



大八木弘明監督
「(今日のレースは)前半、1、2区はまあまあだったが、大事な4、5区のところがうまく流れが繋がらなかった。そのあと、堀合が区間賞を取ってくれたことで、そこで選手たちもやれる、3番以内に入れるというところまでは持っていけた。4番だけれども、昨年より強いチームではなかった割には結果は良かったのかなと思う。(出雲から良くなった点は)やはり2年生と堀合がしっかり走ってくれたこと。後半の6、7、8区が箱根に向けて使える目処が立ってきたかなと思う。(出雲、全日本を終えての課題は)やはりエースというところ。下とか加藤とかがもうちょっと走ってくれればもっと上位で戦える。(箱根に向けては)走り込み。強化合宿をやって臨んでいく」


◆片西景
「(今日の調子は)出雲が終わってしっかり準備をして来たので、悪くなかったと思う。(レースプランについて)1区なので、できるところまで集団で行って、最後どれだけ先頭との差を縮めて行けるかという風に考えていた。工藤さんが待っていたのでしっかり安心して走れた。(ユニバーを共に戦った工藤とのタスキリレーに思いはあったか)監督も前半勝負ということで、1区~4区くらいまではしっかり主力の選手を置いているので、そこは絶対外せないという思いで走った。(監督やコーチからどういったことを言われてレースに臨んだか)スタート前に『自信持って行け』と監督に言われたので、緊張することなくやれた。(1区を走った中で生まれた課題は)スピードで東洋の2年生に負けてしまった。箱根は長い距離になって、長い距離の方が得意なので、しっかり走れるようにしたい。(1区を走った感想は)チームの流れを作る大事な区間だと思うので、最低限しっかり仕事ができたのは今後の駅伝にも収穫になると思う。(出雲からどう取り組んで来たか)このままの流れではダメだと思い、自分以外にも高本さんを中心にしっかり立て直すという意識でやって来た。今回4位だったが、出雲よりはチームとしていい流れになって来たと思う。(三大駅伝初出場だった去年と比べて成長した点は)今年は駅伝2周目で、去年と同じことをやっていても仕方ない。自覚を持って上級生の走りを意識した。(現3年生は去年の全日本から台頭したが、今の3年生の雰囲気は)4年生が工藤さんしか走っていない状況というのもあり、全体で3年生が一番走っている。今年もそうだが、来年しっかり勝てるチームにするために、自分たちがやらなくてはいけないという雰囲気を学年全体で作っている。(箱根駅伝に向けて)チームの目標にしっかり貢献できるように、自分の任された区間で仕事ができるようにしたい」


◆工藤有生
「(2区に選ばれたが)前半で流れを掴めという指示の元、自分と片西が選ばれたが、片西がいい位置で渡してくれたものを自分が行ききれず、チームの流れを持ってこれなかった。3位以上を狙っていて、8区の最後も前が見えていたがそこの差ができてしまったのは自分の走りがチームに響いたからだと思う。自分の走りとしては良くないものだった。(2区のラストでは)東洋と13秒差をつけられてタスキをつなぐこととなってしまい、最低でもそこは秒差無しで渡すかリードして渡すのが自分の役割だった思うが、それが出来なかった。(チームとしては)堀合も区間賞を取ってくれたし、後輩達がすごく頑張ってくれた駅伝だった。だが、結果を見ると4年生が情けないものだった。(箱根では)あと1ヶ月ちょっとしかないが、自分がそこで結果を出すことが、最高学年として監督にもチームにも応援してくださっている方にも、恩返しになると思うので、今回悔しかった分、結果で示そうと思う。やはりエース区間を任せていただいてリベンジがしたい。(チームとしては)出雲が良くなかった分、全日本で自分以外のメンバーが結構いい戦いをしてくれたので、その事を箱根への自信にしてくれればいいと思う。だが、今は他の部員よりも、自分の心配をして、チームをより一層盛り上げられるようにここらかまた調整し直したい」


◆物江雄利
「(初出場だったが)事前に言われていた目標のタイムに届かなかった。まずそこが反省点。(その原因は)夏合宿で(故障により)全然走れていないので。練習を再開したのは9月から。後半ラスト3キロから切り替えるということができなかったというのは、自分の練習不足が原因かな、と。(チームは出雲駅伝を終えて、どのような練習をしてきたか)7位だったということで立て直さなければいけなかった。自分ら3年生が走れないといけないと思い、自分も全日本のメンバーに入ることで学年全体でチームを引っ張っていこうと考えてやってきた。(昨年のこの大会から現3年生が台頭したが)片西が1区2位スタートで良い流れを作ってくれた。堀合は区間賞を取って、下も積極的なレースを見せた。この3人は収穫があったのかなと思うが、自分だけ区間順位が6位で、中途半端な走りをしてしまった。今回選ばれたメンバーでも自分より結果を出した同期が3人いるので、それを考えながら走りたい。(箱根に向けて)去年は足を引っ張るだけだった。自分の課題はスタミナ。そこを11月の合宿などで鍛え直して、去年のように足を引っ張るだけだった走りではなく、チームに貢献できる走りができればと思う」


◆下史典
「(今日の調子は)絶好調ではないが、自分の中ではいい感覚だった。(監督からの指示は)気温も後半上がってくるから、前半無理せず後半でしっかり勝負して次の1年生に楽をさせようとしてた。(実際走ってみて)8キロまでは自分のイメージ通りの走りができた。そこからラスト6キロの一番大事なところでペースを上げれなかったところが反省点。(地元開催だったが)沿道で応援してくれる声援が多かったから、それに応えたかった。その中でも結果を残せなかったのは情けない。これから練習してかなければいけない。(去年と同じ4区だったが、成長を感じた点は)去年は5キロできつくなったが、今年は8キロぐらいまではまだ余裕をもってリズムよく走れた。前半の走りは成長したが、後半はまだまだ力不足。(昨年の全日本で3年生が台頭してきたが今の雰囲気は)一区の片西や6区の堀合はチームを引っ張る立場になっている。刺激を受けたので負けないようにしたい。(箱根駅伝に向けて)まだ2ヵ月あるからやれることはたくさんある。課題を自分で見つけて1つでも多くクリアできるようにして、少しでもいい状態で箱根駅伝に望みたい」




加藤淳
「(今日の調子は)日体大や出雲に比べたらいい方ではなかったが自分を選んでくれた監督に応えるためにチームに貢献する走りをしたかった。途中青学が目に見えたところでもう少し詰めたかったが自分の気持ちに打ち勝てずに詰められなかった。それが総合でも青学を抜けずに3位になれなかった。自分がもう少し青学に詰めるべきだった。(監督からの指示は)出雲のことは忘れて自信をもって走るように言われたから力になった。(今日の結果を踏まえて今後の課題は)チームとしては3位以内に走ることが目標であと一歩だったので上がっていけると思う。箱根で駒大の意地を見せて結果を残したい。(箱根に対して)出雲、全日本で先輩に助けてもらったので箱根では助けられる側ではなく、自分がチームに貢献したい」


◆堀合大輔
「(調子は)悪くなかったので、前の選手に追いつこうと頑張った。走りながらラップタイムを見ていたが、後半の落ち込みが少なく、逆に上げれらたということが自分の中でも調子を上げることができた証拠だと思う。(区間賞だったが)次につながるレースができたと思う。こうして大きな大会で区間賞を取れたということは自分の自信にもつながるのでしっかりと自信に繋げて、今後の試合や練習を努めていきたいと思った。(箱根では)今回、単独走で走ってそれが結果的に区間賞に結びついたが、これからも1人で走る機会があると思うのでそこではしっかり今回の経験を繋げていきたい。個人的にはやはり箱根でも区間賞を狙っていきたいと思う。チームでは最低でも3番以内を目指しているので優勝を狙いつつ最低でもそこをクリアしていきたい」


◆中村大聖
「(今日の調子は)悪くはなかった。1キロ走った時点で、体が動くなと感じた。(今日のレースは)堀合さんがすごい勢いで来てくれたので、その流れを受け継いで走ることができた。また、最終区の山下を少しでも楽にさせようと思って走った。(2年生2人が三大駅伝に初出場したが)今まで悔しい思いをしていて、今回走ることができて本当に良かった。(山下との襷リレーだったが)後ろが山下で、同じ部屋というのもあってとても嬉しかった。最後の2区間が2年生2人で、2人とも最低限のことはできたと思う。(箱根に向けて)少しでもエースに近い走りをできるように練習していきたい」


◆山下一貴
「(今日の調子は)悪くはなかった。むしろ良かった方。(レースプランは)後半しっかり走れるように、前半は気持ち早めくらいで走るようにしたかった。(監督からは)緊張せずにリラックスしてやれと言われた。実際は緊張したが、走り出したら緊張はなくなった。(実際に走ってみて)10キロくらいまではいい調子で走れたが、後半13キロ通過くらいからペースを落としてしまった。(反省点は)後半のスタミナの無さ。(得たものは)走り出したらいつもの感じでいけたのが良かった。自分の力が通用しないわけではないとわかった。(2年生全体の雰囲気は)今年になって、1年間の成果が出てきた。みんな力がついてきているので、自分達の代も盛り上げていきたい。(箱根への抱負は)この経験を生かしてチームに貢献したい。3位以内、できれば優勝を目指す」


直前の記録会で自己ベストを更新、勢いに乗り三大駅伝初出場を果たした山下(奥野凌河撮影)

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