林裕也～栄光と苦悩、そして新たなステージへ～
[硬式野球部]特別対談
硬式野球部を引退してから約２ヶ月。大学野球から離れた今、今季中心となってチームを引っ張ってきた前幹部・林裕也(経４)、海田智行(経４)、椎葉謙(法４)にこれまでの４年間と、社会人野球とういう次のステップへ進む直前の心境を伺った。
これまでの４年間を振り返った林＝駒澤大学で（橋本圭史撮影）
この１年、主将としてチームを引っ張った
４年次の打撃は不振を極め、苦しんだ
週間毎に一人ずつ掲載予定です。
今後、社会人野球という新たな舞台で「目立つ」と意気込みを見せる林
まず１人目は、前主将・林。高校時代に04年夏の甲子園で優勝し、翌年、キャプテンとして連覇を果たすという輝かしい実績を携えて駒大野球部に入部したが、この４年間は苦労が多かった。４年春から主将としてチームを引っ張る立場に立ったが、主将となってから「野球を辞めたい」と思ったこともあったという。
これから、東芝野球部へ進むにあたっての意気込みや、その先にあるプロへの意識も垣間見えた。
※なお、本取材を行ったのは12月中旬です。
コマスポ(以下、コマ)：引退してから２ヶ月経ちましたが、この２ヶ月いかがでしたか？
林裕也(以下、林)：うーん…まだ野球したいとは思わないよね。
コ マ：なぜですか？
林 ：やっぱそれだけ自分の中でやりきったっていうのがあって。
コ マ：先月(11月)、駒大苫小牧高校へ教育実習に行かれましたが、いかがでしたか？
林 ：僕には全く向いてないってことが…(笑)
コ マ：野球部の子とかとも話したんですか？
林 ：野球の練習にちょっと出てたりしてたので、野球部の子とはずっと話したりしてました。
コ マ：何かアドバイスとかしましたか？
林 ：孝介さん(※１)っていう１コ上のキャプテンだった人が監督やってるから、あんまり口出ししないようにって思って行ったんで。だから一緒に練習に交ざってやってました。
コ マ：佐々木さんとはどんなお話を？
林 ：野球の話とか、色々話しましたよ。今までは先輩後輩だったけど、監督になって立場が変わってこう話すっていうのは初めてだったので。ちょっと不思議な感じはありました。
コ マ：監督としての佐々木さんはどんな感じでしたか？
林 ：監督になる前の孝介さんを知ってるんで、なんというか、監督としてやろうとしてるんだろうけど、僕からしてみたらまだこう、先輩っていう風に見えますよ。でも、厳しくやってました。
コ マ：どんなタイプの監督になっていますか？
林 ：指導方針っていうのは香田監督(※２)に似てると思いますね。だから言ってることとか、僕が高校の時に習ったようなことを教えてました。まぁあとは、年が近い分、怒るときは怒りますけど、ばかを言いながらやってる場面もあったから、そういうところは若い監督にしかできないと思うんで、いいかなぁとは思いました。
コ マ：高校野球と大学野球の違いはどういうものですか？
林 ：高校野球っていうのは、誰でもって言ったらあれですけど、大学とか社会人行ったら、選ばれた人間しかできない。大学では本当に力を試される場所なのかな、と。本当の意味でのスタートだったのかもしれないです。だからいっぱい苦労もしたのかもしれないし。
コ マ：林さんにとって大学野球とは何ですか？
林 ：うーん…我慢しましたね。忍耐。
コ マ：野球を辞めたいって思った時期があったりは？
林 ：あー、１回ありました。
コ マ：その時はどうやって乗り越えたんですか？
林 ：辞めたいって思ったことがなかったんですよ。どんなにきつくても。でも辞めたいと思ったのはあれが初めてで。その時は、僕が辞めることでいろんな人に迷惑がかかるし、僕がこうやって野球やってるのは本当に周りの人に支えてもらってやってきたっていうのはすごいあるんで。野球始めたきっかけがそういう人との出会いからだったんですよ。続けてやりきることがやっぱり恩返しだなと思ってやってるんでそういう気持ちが強かったから辞めるわけにはいかないなって。僕はそれがなくなったら野球辞めちゃうと思います。
コ マ：キャプテンとなって一番何が辛かったですか？
林 ：やっぱり自分の結果が出ないことが…一番難しかったですね。周りの人は結果を見てないとは思うんですけど、引っ張ってってる姿を見せればいいと思っていたんですけどね。そういう状況になるとなかなかそういうことも難しくなりますね。自分のプレーができない、結果が出ないってなってくるとやっぱり気持ちも折れそうになるし…そういう風にしよう(強い姿でいるように)とは思ってるんですけど、だけどそれは作ってやってるような…それは絶対持たないですからね。すぐにボロが出ちゃうというか…人に伝わらない 。
コ マ：チームメイトからも支えられた面があったんですか？
林 ：そうですね。３年生とかは特に。ああやって優勝争いできたのとかも３年生以下のおかげだと思うし。すごく助けられました。
コ マ：次期キャプテンの笠間選手と、どういう風にチームを引っ張っていくかという話しはしましたか？
林 ：笠間は比較的一緒にいる時間が長かったので、そういう面で、教えようっていって教えたことよりも、自然に彼に伝わったことが多いと思うんですよね。だからキャプテンになったときにこうやってなったらいいんじゃないかっていうのは言ったことはないですね。
コ マ：笠間選手の印象はどういうものですか？
林 ：笠間もまじめで固いから。それが良い方向に出ればいいですけど、悪い方向にいったら僕みたいになりますから(笑)
コ マ：林さん自身はどういうタイプの主将でしたか？
林 ：僕は姿で、プレーで引っ張るタイプだったんですよ。
コ マ：林さんが主将のときはチームはどんな印象がありましたか？
林 ：僕が情けない姿ばっかり見せてたんで、結果もそうだったと思います。絶対にそれは。修行します(笑)
コ マ：就職先の東芝をどう見ていますか？
林 ：強いっすよね。勝ってますよ、かなり。
コ マ：結構補強してるみたいですが？
林 ：今年も選手が６人くらいあがったからね。僕の出番でしょ(笑)
コ マ：社会人１年目の目標は？
林 ：とにかく目立たないと。プロに行けないんで、１年目から目立つことです。どういう存在でもいいから目立ちます。
コ マ：「目立つ」ということですが、具体的にはどういう風にいこうとかありますか？
林 ：まずレギュラーとって…どうやったら存在感が出るのかていうのを研究したいっすね。存在感出すの得意っすからね、俺ね(笑)
コ マ：プロにかける思いはありますか？
林 ：やっぱ僕を応援してくれてる人とかは皆期待してると思うんですよ。だから、そこに行ってちょっとでも試合に出て、それがもう恩返しだと思います。自分の原点というか心の中にあるのはそういう人たちへの思いなんで。最終的にそれをどういう形で返すかっていったら、そうやっていくしかない。成功しても失敗してもいいから行きたいです。
(※１)孝介さん…駒大野球部08年度ＯＢ・佐々木孝介さんのこと。現在は母校・駒大苫小牧高校で監督をしている。
(※２)香田監督…駒大野球部93年度ＯＢで駒大苫小牧高校元監督・香田誉士史さんのこと。
◆林 裕也(はやし ゆうや)
経済学部経済学科４年
1987年４月６日生まれ
北海道・駒大苫小牧高校出身
177cm 75kg
１年春：打率.277(47打数13安打４打点)
１年秋：打率.256(39打数10安打２打点)
２年春：打率.205(39打数８安打２打点)
２年秋：打率.375(８打数３安打２打点)
３年春：打率.400(50打数20安打７打点)☆首位打者賞・ベストナインを獲得。
３年秋：打率.325(40打数13安打４打点)
４年春：打率.167(36打数６安打０打点)
４年秋：打率.118(34打数４安打１打点)
４年次は主将としてチームをけん引した。
＊2009年東都大学野球秋季リーグ戦の写真を写真館に掲載しました。
４年次の打撃は不振を極め、苦しんだ
